2017年5月7日日曜日

観客みんなでスマホを鳴らしながらコンサートを聴ける曲・・・って?! ~タンドゥン・パッサカリア

コンサートホールに入るとフツーは
「携帯の電源をお切りください」
であって(機内モードにするのもオススメです)、
携帯電話はご法度の世界ですよね。
ところが! このたびの公演は逆に
「どうぞみなさまスマホをお手元にご用意いただいて」
「電源はONのまま、指揮者といっしょに音源をお鳴らしください」
・・・ということなので、
止められるとなんでェ?と思うヤンチャなワタシとしましても
とっても興味津々でセレクトした公演でした。

ラフォルジュルネ3日目の公演番号344
中国の作曲家タン・ドゥン さんによる「パッサカリア」
パッサカリアとはスペインの古い舞曲の音楽形式をいうのですが
 「コンサート中、みなさんスマホを使ってください!」
・・・なんて反逆的なおもしろいツカミ、
さて、どんな曲なのでしょうか!

指揮者のドミトリー・リスさんが大股で颯爽と登場されたと思ったら
スマホを会場の聴衆に向けて準備を促しています。
・・・と、
まず1階の左手に座っているみなさんにむけて笑顔でGOサイン。
みんな一斉に再生ボタンを押しています。
続いて真ん中、右手、そして私のいる2階・・・と指示が続きます。
みんなが前もってスマホにダウンロードしている音源とは
↑こちらです。

ギーギーとかピョロピョロとかヒュ~~とか。

この曲、パッサカリア~風と鳥の秘密~という
副題がついています。
さて、これをスマホをみんなで再生するわけで・・・
いっしょにといっても
それぞれ多少ボタンを押すタイミングがずれますので
それがむしろずれて重なりあうことで

真夜中なのでしょうか早朝でしょうか。
数々の鳥や虫、いろいろな生物の息遣いや風の音に聞こえてきます。
最初左側席の人たちの出す音だけだったのが
だんだんにすべての人に広がって全員が重なると
広いホールの空間が
どこかの深いジャングルの奥のような
自分がそこにいるような4Dの世界観を生んでいます!

1分ほどの音源は、みんながボタンをずれて押すことで
フェードインからサイコーに重なり合い、
徐々にフェードアウトされたようになり
そのフェードアウトされつつあるところから
自然にオーケストラの音が入ります。

そこから始まる数々のアイディア、
たとえば、

バイオリンの弦を弓ではなく指を滑らせるグリッサンドの静かな連続や
弦楽器全員が弦や胴体を手で叩いたり、
さまざまな打楽器がアクセントを加えたり、

急に音はハープの伴奏だけ、楽団員みなさんのハミングが始まり、
そのハミングが息だけの詠唱になるあたりは
子どもだったらきっと
ハリーポッターの蛇語が語られるあたりの
ミステリアスな世界を思い出すでしょうし、
全く飽きさせないおもしろさが満載です。

最初のスマホの競演で
曲のイメージを自ら作っているので
どんな変わった音と音楽がでてきても心に受けとめやすく、
自分のなかでひとまとめにできる魅力があります。

曲に入り込みやすいので
小学生も中学生ももちろん高校生も、きっと大喜び、
15分があっという間です。
音楽の可能性として、
教科書に取り上げたらいいのにな~と思いながら
わたしも隣の女性も身をのりだして楽しんでいたひとときでした。

終演後、待っていたレオとBobと合流して1杯やったあと
フォーラムを散歩しながら帰途につこうとすると
 「お花をどうぞ!」
最終日なので野外広場を彩っていたお花の鉢を
欲しい人に配布中!
大喜びでいただいて帰りました。
もう暗いベランダに置いて、
明日の朝が楽しみです。


おいでいただきありがとうございました
     
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