2012年8月23日木曜日

残念な展覧会 ~上野の森・ツタンカーメン展



最初に言います。
それはもちろんすばらしいものでした。

ツタンカーメン王が華やかに国政を執っているころの日本は縄文時代。
クレオパトラの栄華極めたころでさえ、まだ弥生時代なのです。

チケットがあってもさらに入場時刻の指定された整理券が改めて発行されてさらに並ばされるほど、その神々しい文明やエジプト王の秘宝にまみえんとする人々の関心の高さ・・・。


ツタンカーメン。
彼との最初の出会いは何十年も前の小さいころ、親に連れられて行った京都の国立博物館でした。

幼なごころにエジプトという砂漠の国とか遺跡から発掘される黄金の宝石とか、なんだかミステリアスでわくわくするものの、
ミイラとか、目の周りをぐるりと青く濃くくっきりと強調してふちどる特徴的なお化粧は、美の追求だけでなく魔物や邪気から身を守るという意味もあっただけに、こちらはじっと見透かされているようで、エキゾチックだけどとても怖かった覚えがあります。

そしてそのときみたのが、彼の黄金のマスク。
それ自体はまばゆいばかりでほんとうに美しかった。
でもそれがどうしてどういうときに使われたのかを知り、いまだにはっきりした真実がわからない若くしてなくなったこの王のことを考えるとその輝きがむしろ怖くて悲しくて、ほんとうに心に残る印象的な展覧会だったのでした。


でもね・・・。

今回上野で開かれているこのツタンカーメン展・・・
「ツタンカーメン展」というならばいちばんのみどころであるこの黄金のマスク・・・


      ありませんの・・・・・!


今日はとことん古代エジプトを一緒に堪能しましょうよと出かけた幼ななじみのあっちゃんと、次のコーナーよ! 次のコーナーこそ!・・・・と期待に胸ふくらませながら展示の先に進んでゆき、そこで最後にみた貼り紙、それは・・・

              「この先、出口です。」


そこまでの展示は素晴らしく、昔みた思い出が、エジプトに馳せる思いが、音声ガイドとともに丁寧に積み上げてきた思いが、それを最後に見ることによって思い切り昇華する!!
                
                                ・・・はずだったのに・・・。
 
                                      あーあ・・・・・
 
おまけに、
退場するときにそこにいた若いスタッフの女の子に、
「今回、黄金のマスクは来てないのね、残念だわ」
と言ったら、その子、きょとんとしながら
「あ~、マスクはないんですけど、お面ならおみやげコーナーに売ってますよ❤」
・・・ですって!! シンジラレナイ!!
 
風邪なんかひいてませんよ、黄金のツタンカーメンのマスクだよぉ!・・・と爆発しそうなのをあっちゃんに止めてもらいました。
 


さわやかレモンスカッシュでなんとかクールダウン。 
 
騙されたようでがっかりでしたが、そこを前もって覚悟して行くならば展示の数々を素直に楽しんでこれるでしょう。
 
 



2 件のコメント:

  1. 私も行って参りましたよ!ペコさんと幼馴染みさん同様、それはそれは興奮して、しかも私なんか他の発掘品はハッキリ言ってどうでもいいというのは言いすぎですが、かなり気合いを入れて黄金マスクとのご対面を想像しながら列に並んでいたのに・・・しかも暑くて暑くて汗ダラダラで化粧なんてすっかり落ちてしまいましたよ。まるで私もミイラになってしまったようでした。それでも行って良かったですよ。いつか見てみたいなあ・・・

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    1. akkoさん、ありがとうございます。
      akkoさんもいらしたのですね?!
      やはりこうした「鑑賞する」という時間と場所を持てたこと自体が感謝なのですよね。
      結末のショックも、また違った意味でずっと心に残る展覧会の思い出となりました。

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